空き缶アルコールストーブを作ってから燃料用アルコールを扱う機会が増えました。
燃焼試験で燃料用アルコールの量を計るために計量カップを購入したのですが、そこであることに気が付きました。
今後、アルコールストーブを携帯するときにセットで持ち歩く事になる容器選びに必要な大切な事なので、今回はその事について書きたいと思います。
冒頭に2つの計量カップを掲載しましたが、片方だけ異変が起きています。
元々は右側の計量カップのように透明だったのですが、使用して数日後に再び見たらこのように真っ白になっていました。
変色したのではなく、無数の亀裂が入り白く見えているのです。亀裂はアルコールに触れた内側のみ。外側には入っていません。
この計量カップの素材はアクリル樹脂です。
透明度のある素材でガラスのような質感があり、落としても割れにくい素材です。
以前、訳あって我が家にも多数のアクリル樹脂コップがありました。ただ、食洗機や冬場に熱湯で洗うとひび割れが起きてしまうのが難点。それでも使い続けたのは、ガラスコップのように落としても割れず怪我や破片の片付けをしなくて済むからでした。
その時の経験則から、今回のひび割れ原因は、アルコールの気化熱によって温度変化が生じて膨張収縮が起き、硬質なアクリル樹脂がそれに耐えきれずひび割れを起こしたのではないかと思われます。
日本プラスチック工業連盟によると、アクリル樹脂(PMMA)はアルコール耐性があるように書かれています。
確かに、アルコールを入れておいても樹脂そのものが溶けたり腐食したりするわけではないため、この見解は正しいのでしょう。
しかし、私の経験則のような熱による膨張収縮に対するアクリル樹脂の強度までは考慮されていないのかもしれません。
冒頭写真右側の計量カップにはひび割れが起きていません。なぜなら、素材がガラスだから。
どちらも100円ショップで購入したのですが、ガラス製計量カップは中々売られてなくてアチコチ見て探し出したものです。
アルコールの気化熱を考えて耐熱ガラス製が理想だったのですが、素材はただガラスとしか書かれていなかったため普通のガラスだと思います。
今のところひび割れを起こしていないので使い続けてみようと思っています。
市販されてる燃料用アルコールの容器は何で出来ているのでしょう?
うちで使ってる燃料用アルコール(メタノール95%エタノール5%)2種類のうち、1つに素材が明記されていました。
キャップはポリプロピレン(PP)、容器本体はポリエチレン(PE)でした。
この2種類の素材はアクリル樹脂に比べて柔らかく柔軟性があります。また、日本プラスチック工業連盟の表を見てもアルコール耐性があると書かれています。
ただ入れている分には耐熱温度を上回る事はありませんし、熱の膨張収縮にも柔軟性があるため耐えられるのでしょう。
この2種類の素材なら携帯容器として使えそうです。
市販されてる燃料用アルコールは500ml単位で売られているのですが、外でアルコールストーブを使う場合そんな大容量は必要ありません。せいぜい50〜100mlもあれば十分です。使わない燃料は邪魔なだけですからね。
そこで、小分けするための小さな容器が必要になるのですが、100円ショップで真っ先に小さな液体容器として候補に上がるのが化粧品コーナーに並んでいるものです。
あちこち見て回りましたが、残念ながらお目にかなった容器は1つもありませんでした。
揮発して容器の内圧が上がりやすいアルコール。簡単な開閉キャップはNGですし、普通のネジフタと思ってもアクリル樹脂製だったのでNGでした。
次に探したのがお弁当用調味料入れ。たまたまガラス製計量カップを買ったお店で、他店では見かけなかった30mlがあったのでそれを購入しました。
素材はフタも本体もポリエチレン製。まだテストはしていないのですが、多分大丈夫でしょう。心配なのはフタからの液漏れぐらいでしょうか。
これでダメなら、もうお酒用の小瓶やスキットル探すしかないかも。燃料専用ボトル買えば済む話ではあるのですが大きいものが多いので。
燃料用アルコールにはいくつか種類があります。
うちで使っているのはメタノール95%エタノール5%という安いモノです。
また、固形燃料も安いモノはメタノールが主成分のモノが大半です。
燃料用アルコールは、メタノールとエタノールの配合比率の違いがあり、メタノール比率が高いと安く、エタノール比率が高いと高い傾向にあります。
メタノールの原料はメタンで、天然ガスや液化石油ガスやナフサから作られます。安価な反面、人体に有害です。
エタノールと見た目や味の違いがわからないため、お酒のカサ増しに使われては健康被害が出る事件が跡を絶ちません。
直接口にしたり体内に取り込まれなければ問題ないため、そういう用途で一般に流通しています。
エタノールの原料は天然素材。具体的には米や麦やイモ類など。つまり、普通のお酒です。
出来たお酒を焼酎とは異なる三成分共沸蒸留という手法で精製し、不純物や水分を取り除いて作られます。
無水エタノールとして売られてるものはホボ100%に近いエタノールです。消毒用エタノールは、エタノール濃度80%になるよう精製水で薄めたモノになります。
燃料用アルコールとして売られているモノは、エタノール比率が高いものの、メタノールを加えて価格を抑えているようです。
アルコールストーブや固形燃料を料理で使う場合、口にする素材に直接火が当たらないのなら安いメタノール比率の高い燃料で問題ないです。
しかし、火で直接炙るような使い方の場合は無水エタノールが理想ですが高価なので、エタノールがメインになってる燃料用アルコールで妥協し、安全に配慮したほうが良いでしょう。
私が自作アルコールストーブで燃焼試験を繰り返した所、気化した燃料が燃えきらず、冷えた素材の場合に付着し再び液体燃料に戻るケースを確認しました。
そのまま炙り続け再び気化し着火すれば燃えてくれるのですが、食品の場合は素材の中に入ってしまって燃え切らない可能性もあります。
少量なら口にしても直ちに健康に問題ないため、商売人たちは問題ないと回答してるようです。しかし、有害物質は累積なので、出来だけ口にしないほうがベストです。
余談ですが、メタノールは有害なのですが、その原料となるメタンは無害なんですよね。
だから、一般的に使われている都市ガスやプロパンガス、ガス缶のブタン系ガスは平気みたいです。
無理して燃料用アルコールで頑張るなって事なのかもしれませんね。
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